「もうこれは決まりだろ。ここしかない。オレの勘がそう言ってる」
「何が勘だ。大体、不動産屋は他にもあるぞ」
そこは小声で言う。
「ここが良いんだよ!」
「お前はさっきのフクロウが気に入ったんだろどうせ」
「ああそうだよ悪いかよ」
開き直ってしまったらしい。ふてくされたような顔になった。
 慎吾は顔に似合わず、可愛いものが好きだった。特にムーミンがお気に入りで、以前買ってやったムーミンの貯金箱を今でも大事に使っている。
「まぁ、確かに良いとは思うけどな…」
「だろ?」
そこで不動産屋が口を開いた。
「もしお決めになるのでしたら、お早めに申し出て頂いた方が良いかもしれません。この部屋は広いのでそうでも無いのですが、他の部屋はどんどん入居が決まっていますし」
その一言で慎吾はすっかりその気になってしまった。とりあえずその場は、少し考えます、と言って退散したのだが。

 その後、他の不動産屋にも行ってみたが、慎吾の意見は変わらなかった。俺自身も、悪いとは思わない。ただ、学生には少し贅沢なのではという点が引っかかっているだけだった。何せ設備を挙げると、システムキッチン、ウォシュレット、TV付インターホン、オートロック、カードキー、エレベーター、BSアンテナ、ケーブルテレビ、インターネット光ケーブルと、揃えられる物は全て用意しましたと言わんばかりだ。

 その夜、親にも相談してみたのだが、場所柄からしても一人暮らしする事を考えれば安いのだから、別に構わないという事だった。親にもそんな事を言われてしまうと、特に反対する理由もなくなってしまった。そんな訳で、慎吾に半ば引きずられる形ではあったが、アパートが決まる事となった。
現在書いている、同居話の序盤になります。萌えとかあまり無さ気なのが微妙かなと思っている所で、少し載せてみたのですが。大体、こんな感じの雰囲気で話が進みます。ちなみに、3日間シリーズを読んでない方にも読めるように書いてるつもりです。