お互いの気持ちにようやく気が付いたものの、既に進路は別々で、住む所も遠く離れてしまい、中々会えない状況に陥る二人。
月に2、3回会う程度で、寂しさが募る慎吾。
しかし久しぶりに和己に会えても素直に言えず、取り敢えず「寮住まいって、どうだ?」と話題を向けてみる。
「おぉ、すげーぞ?大学に近くて安いってだけで決めちまったけどな。まず、日当たりが悪くてじめじめしてるし、古い木造建てで今にも潰れそうだし、ゴキブリは出るしこの間はネズミまで出たからな。部屋は狭いし。また運の悪い事に玄関入ってすぐの部屋になっちまったんだよ。ドタバタと人の出入りでうるせーしよ。夜中はずっと隣の部屋から麻雀のジャラジャラする音が、これまたウルセーんだ。あ、寮だから朝と夜はちゃんとご飯食べれるんだけどよ。なんか揚げモンばっかなんだよ。太るっつーか、気持ち悪くなってくる。続くとなァ〜」
「へぇ…すげーな。…あ」
「ん?」
「じゃ、じゃあさ、引っ越したりとか、しねーの…?」
「おお、実は親もな、現状話したら、さすがに別のところに引っ越しても良いぞって言ってくれてな。いずれ引っ越す事になるかもなァ」
「!」
思わず一緒に住まねぇ?と言いそうになり、バカかオレは、と慌てて思いなおす慎吾。
(まだキスもしてねーのに、いきなり同棲は無いだろ。あぶねぇ。何言いそうになってんだオレ)
「お前の方はどうなんだ?」
「え、あ、うん、普通」
「普通って何だよ。それだけかよ」笑いながら言う和己。
「あえて言うなら、自炊とか面倒くせーっつーか。わざわざ一人分作るのもアホらしいし。結構家事とか面倒じゃん?」
「一緒に住めたらラクだけどな。2人分を順番に作るとかならラクだろ」
「うぇ?!」
思っていたことをアッサリ和己に言われて驚いたやら嬉しいやらで変な声を挙げてしまった慎吾に対し、「なんだソレ」とウケる和己。
「つっても、そうなるとお前まで引越ししなきゃいけねーもんな。無理か」
「いや、ホラ、でも、アレじゃん」何がアレなんだか分からないが、何か言わないと、と焦る慎吾。「そう!2人で住んだら家賃折半でぜってー得じゃん!」
「あぁ、それはあるな。しかも割と良いトコ選べるかも」
「そうそう!あ、オレさ、ちょっと親に聞いてみるわ。引越ししてもいいかとか。オレらの大学はちょっと離れてっけど、中間あたりの場所選べば、そう遠くねぇし」
「なんか急に具体的になってきたな」
「イヤか…?」
「いや、じゃなくてお前が良いのかと思ってな。まだ4ヶ月しか住んでないのに」
「あ、大丈夫。多分」
「あれ」
「な、何」
「もしかして、コレって同棲になんのか…?」
「(今 気付いたのかよ)…そうとも言う、な」
「まぁいいか」
(いいのかよ!)
そんなわけで結局、慎吾は粘って親を説得し、一緒に住む事になった二人。
しかし毎日顔を合わせているのに、キスすらしてない二人。
慎吾はそろそろ我慢の限界で、キスどころか和己に色々触られたいとか悶々とし始めるが、和己の方は至って普通に過ごしていて、段々不安になってくる慎吾。

蛇足の蛇足が続いてしまってます。 11/23